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ヤン・シュヴァンクマイエルの『アリス』は、子供向きとは言い難いが、真夏の夜の悪夢くらいの感じかいな。 [つっこみ映画評]

アリス ALICE (1988) スイス、西ドイツ、イギリス 
監督・脚本・デザイン:ヤン・シュヴァンクマイエル
アニメーション:ベドジフ・ガラセル
出演:リスティーナ・コホウトヴァー

ヤン・シュヴァンクマイエルは、1934年チェコのプラハ生まれやから、もう70過ぎの爺さんや。この映画の製作当時で50代前半。3年がかりで作ったそーやから、おっちゃんとなんぼも変わらん歳でこの力業や。いや、もー頭が下がるな。それにしても凄いイマジネーションの持ち主やね。冒頭の水面に石の投げるシーンをはじめ、紅茶茶碗にも石を投げ入れとったし、何回も石を投げる(積み木を投げたりもしよるし、ガラスが割れるシーンもケッコーあったな)シーンがでてくるんやが、あれってなにかの象徴か?

こーゆー映画は、深読みしだすと霧のない摩周湖やが、あの涙の海(ゆーか水たまり)で溺れそーになるシーンで、おっちゃん唐突に『滂沱(ぼうだ)として涙が流れる』ゆー難しい言い回しを思い出したがな。涙の海はさぞかししょっぱいやろな。さらに、ねずみがトランク引っぱって泳いできて、女の子の頭の上でたき火し始めよるシーンでは、落語の『頭山(あたまやま)』を思い出した。そーゆーたら、『頭山』をネタにしたアニメーションを山村浩二ゆー日本人アニメ作家がつくって、第75回アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされたんを始め、そこら中のフェスティバルで賞もろとったな。

シュールリアリズムが一斉を風靡したんは第一次大戦後のヨーロッパやけど、20世紀の後半になっても、21世紀になっても、東欧の小国とジャパンのアニメ映画の中で、連綿とその末裔のような作品が作り続けられとるちゅーことやね。いや、シュールリアリズムの手法は、TVコマーシャルや広告ポスターでは、いまだにしょっちゅう試みられてるな。

この映画、エロ・グロ・ナンセンス度のエロ度はほとんどない。マニアックな映画なんやけど、ロリコン方面の人たちにはあんまり受けんやろ。ひたすら気色悪い攻撃で観客をげんなりさせるグロ度も大したことない。ナンセンス度はそーとー高いが、元々『不思議の国のアリス』そのものがナンセンス文学の極みやから、妥当なナンセンス度や。ただ、マッドハターとマーチヘアは出てくるが、おっちゃん大のご贔屓のチシャ猫が出てこんかった。それとハンプティ・ダンプティやドードーも出てこんのはちょっとさみしいな。

ホワイトラビットゆーキャラは、この映画の助演男優賞やってもエエくらいの名演なんやが、あのおなかの裂け目からおが屑まみれの懐中時計を取り出して舐めるシーンが何度もでてくるとこをみると、よっぽどあのシーンが気に入ってたんやろな。それと、靴下がイモムシ(ゆーか、もーちょい奇怪な宇宙生物みたいなガーデンイール風)になるゆーのは、アホらしーておもしろかった。

ヨーロッパのアンティーク風の文物は、総じて魅力的なんやけど、この映画でも、三角定規やらコンパスやら鍵やら骨格標本やら剥製やらガラス瓶やらインク壺やら、なにやらカニやらがイカにもタコにも古色蒼然の雰囲気を醸しだしてた。

ま、子供向きとは言い難いが、ファンタジー映画好きにとっては、夢でうなされるるほどのえげつなさはないんで、真夏の夜の悪夢くらいの感じかいな。。『悦楽共犯者』ゆー完璧に大人向けの作品もあるそーやけど、今度はそっち観てみたろかと、恐いもん見たさのおっちゃんは、触手を蠢かしてる今日この頃や。。。


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