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『アギーレ・神の怒り』は、ひとりずつ間引かれていく感じや。それが妙に恐いし、気色悪い。 [つっこみ映画評]

アギーレ・神の怒り Aguirre der Zorn Gottes (1972) 西ドイツ 
監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
出演:クラウス・キンスキー、ヘレナ・ロホ、ルイ・グエッラ

クラウス・キンスキーの鬼気迫る目ェの演技と、歌舞伎の「見得」みたいに一瞬ストップモーション気味に動きが止まってから次の動作に移る、間(ま)の演技が凄かった。ゆーても、大見得切った後に『よ、キンさん!大統領!!』のかけ声が掛かるワケではないけど。。。それにしても、大した眼光やね。こんなオヤジに睨まれたら震え上がりそーや。

キンスキーの役は、アマゾン奥地黄金郷発見スペイン調査隊の分遣隊(本隊を率いてたんが、あのインカを滅亡に追いやったフランシス・ピサロや)の副官なんやが、分遣隊長であるフィーゴ似の貴族のおっさんは、愛人まで連れて来とった。キンさんの方も15歳になる娘を同道してるんやが、なんでこの当時の探検隊は、愛人やら娘まで連れてこんな辺鄙な秘境に出っ張っとったんやろ?とかすかな疑念が後頭部に浮かんだんやが、考えてみると、スペインから荒れ狂う大西洋の海原を渡って地球の裏側の南アメリカくんだりまで行こかゆー時点で、そーとーな覚悟がいったやろし、死なばもろとも、最愛の家族を国に置いて単身赴任するには、帰って来れる保証があまりのも少なさすぎたゆーことか。(オツムおかしなってからやけど、キンさん、自分の娘と結婚して夢の王国を作るんじゃ、ゆーとったな)ついて行ったおなごはんもエライわ。あの蒸し暑さの中で、コルセットつけて飾り襟つきのドレスまで着てるんやから。。。

この映画、初っぱなから、高所恐怖症気味のおっちゃんなんか、縮み上がり気味になっとったんやが、断崖絶壁の道を馬やらラバやら豚やらニワトリやら大砲やら車輪やら、輿(愛人やら娘やらが乗ってる)を運びながら歩いとるんやけど、茶色く濁った激流のアマゾン川の川岸に着いた所で、先に進めんようになってしもて、とりあえず分遣隊として40人を選抜して、筏で下って、近くにエルドラドがあるんかないんか調べて来んかいゆーことになったワケや。10日で帰って来れんかったら、死んだものと見なして引き上げる言われて出発したんやから、ほとんど成功の望みなきに等しい、今回のディスカバリー打ち上げとは比べもんにならんくらい無謀な計画やった。

ただ、この調査隊は、あくまでスペイン国王に任命された正式な探検隊なんで、隊長交代の手続きなんかもえらい厳格やった。しかし、目玉のキンさんは決して自分が隊長になろうとはしよらん。その割りに、やりたい放題しよるけど。。。このおっさんは、あくまで行けるとこまで突き進め、エルドラドで黄金に埋もれてウハウハ人生や派や。もう引き返そ派の隊長をピストルで撃ちよるし、川の渦に巻き込まれて立ち往生してしもた筏に向けて大砲ぶっ放すし、ちょっとでも足手まといになる奴は、あの世行きの片道切符や。

話はある種淡々と進んでいくんやが、隊員は次々殺されたり、病死したり、餓死したりしていく。地元民のインディオも全面戦争を仕掛けてくる風でもない。ひとりずつ間引かれていく感じや。それが妙に恐いし、気色悪い。エルドラド発見に取り憑かれた主人公の飽くなき野望の果てに、エルドラドがウエルカムゆーて待ちかまえてるとは到底思えんのやけど、撃ちてし止まんの突撃精神は一向にへこたれへん。ここらがわれわれ凡人と何事かなし遂げたろゆー野心満々の男との決定的なモチベーションの差ぁかも知れん。

後年、コッポラ監督の『地獄の黙示録』は、この映画を参考にしたんちゃうか?ゆー映画評がケッコーあるけど、おっちゃんも、観てる最中に似てると思たわ。『地獄の黙示録』の方は、なんちゅーても、ジャングルの中の大がかりなセットやら、爆撃シーンやらがてんこ盛りやったが、こっちはアマゾン川の上を流れ下る筏の上だけが舞台や。ただ、音もなく矢やら吹き矢やらが飛んできてぐさっと刺さったり、歩いてる途中にひょいと吊り上げられてしもたり、気ィ狂いそーなほど蒸し暑かったり、カラダのあらゆる部分を虫に刺されそーやったり、アマゾンとメコンデルタの違いはあっても、ジャングルの中での死と狂気の隣り合わせゆー設定はいっしょやった。

1時間半の短さなんやが、もうちょい長かった方がよかったよーに思う。唐突にいろんなエピソードが始まるから、前のシーンとの繋がりが分かりにくかった。だんだん狂気にはまっていく主人公のまわりで、為すすべもなく運命に身を委ねる娘や愛人やほかの隊員なんかの生き死にも、もう少し丁寧に描いたった方がもっとエエ映画になったんちゃうか?それにしても、この映画、きれいなおなごはんも出てるんやけど、色気は皆無やったな。


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コメント 3

クリス

こんにちわ☆
親爺さんのブログをみて、この映画が観たくなりました。「黙示録」は大好きです。あのなんともいえない不安定さにドキドキします。
ところで、親爺さんのDVDを選ぶ基準ってなんですか?親爺さんのチョイスがいいなぁと思って。
by クリス (2005-08-04 02:47) 

ブラット親爺

それは企業秘密・・・でもなんでもない。出たとこ勝負や。あんまし世間の噂はあてにならんな。この映画なんか、たまたま『フィッツカラルド』ゆー映画を知って、それを観たら、クラウス・キンスキーゆー怪優が出とって、「こいつ、エライ強烈な役者やな」と感心してしもた。おっちゃん、曲者俳優は大好きなんや、で、キンちゃん繋がりでこの映画に行き着いたちゅーワケやね。
by ブラット親爺 (2005-08-04 07:37) 

クリス

なるほど~。確かに、私もそういう繋がりで観る映画ってありますね。私も世間の噂を聞かずに気の向くままに映画を観たりしてみます!
by クリス (2005-08-06 20:09) 

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