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『フィッツカラルド』の主役、クラウス・キンスキーは別格や。ものが違う。 [つっこみ映画評]

フィッツカラルド Fitzcarraldo (1982) 西ドイツ 
監督:ウェルナー・ヘルツォーク
出演:クラウス・キンスキー、クラウディア・カルディナーレ

エライもんにぶち当たってしもた。こーゆー常軌を逸した話は、おっちゃん大好きなんや。それにしても、この映画の主人公をやってるクラウス・キンスキーは型破りゆーか、奇才ゆーか、破天荒ゆーか、奇天レッツのパッパな個性やね。おっちゃん、ジャックニコルソンをはじめ、ゲーリー・オールドマンやら、テレンス・スタンプやら、ショーン・ペンやら、ジョニー・デップなんかの曲者役者がご贔屓なんやけど、このおっさんは別格や。ものが違う。

アマゾンの奥地で船(ボートとかカヌーとちゃうよ、ディーゼルエンジンつきの立派な汽船や)の山越えを敢行しよるんやが、なんちゅーても、その無謀としか思えん「先住民多くして船山に登る大作戦」を実物大の船を使て実写で撮影したウェルナー・ヘルツォークゆー監督のこだわりも半端やない。

観てない人のために、ちょっと解説しとくと、南米アマゾンの都市マナウス(この街ですらアマゾンの河口から1400キロも上流や)に「アマゾナス劇場」ゆーオペラハウスがある。この劇場は19世紀末に天然ゴムで巨万の富を得た出稼ぎヨーロッパ人の農園主たちが費用を出して建てたもんらしいが、今見てもなかなか凝った内装や(ゆーてもおっちゃん写真見ただけやけど)。ところが、この映画の主人公は、さらに奥地にもう一軒オペラハウスを建てるのが夢やった。

何しろ、このオペラハウスでやってるエンリコ・カルーソーのオペラ観よと思て、何日も前に家出て、はるばる駆けつけた(漕ぎつけた)時には、ほとんど終わりかけとったくらいで、えらい奥地に住んどるんや。そんな地の果てにオペラハウス建てるためには、まず先立つもんが必要や。当時は天然ゴムが一攫千金の打ち出の小槌やったんやが、近場の土地はすでに買い占められとった。そこで、アマゾン川のボンゴの瀬(黒部川の上の廊下をスケールアップした感じかいな)ゆー難所の上流の未開地に目ェつけよった。ここは天然のゴムの木ィがぎょうさん生えてるらしいが、ボンゴの瀬が邪魔してて、せっかく穫ったゴムを船で下流に運ばれへんので、誰も手ェを出してなかったんや。

この男、以前に手がけた鉄道事業が頓挫して破産してて、今は製氷業を細々とやっとる。それでも、窮すれば通ずゆーのんか、男の一念山をも越えるゆーのんか、惚れた弱みゆーのんか、売春宿の女主人やってる愛人からなけなしの金借りて、その土地の権利とおんぼろ汽船買い取って、奥地の開発に着手しよる。ここからは、ほとんどプロジェクトXの再現フィルムみたいな感じやった。

上流の土地に行くには2つのルートがあった。この男の住んどる町の少し下流で二股になって川が合流してるのやが、一方の川の上流には誰も寄せつけんボンゴの瀬がある。きっとこのおっさんも、その瀬の下まで船で行って、そこから高巻きルート見つけるのやろと思てたら、もう1本の川の上流に向けて進んで行きよる。「そっちとちゃうやろ」、「そっちのみーずはにーがいぞー」と誰もゆーてないけど、ずんずん川を遡って行くんや。

この川の上流には首狩り族が住んどる。これまでも何人もの探検家が干し柿ちゃうちゃう干し首にされとるんや。普通は干し首ぶーらぶらのカットを挿入しそーなもんやけど、この映画は先を急がなアカンから、そんな胡乱なシーンはカットしたった。ところで、干し首は『ハリポタ』にもでてくるけど、ソフトボール大の大きさや。どーやったら、人間の頭部があんなにちっこなんねん?おっちゃん、ガキの頃に、少年雑誌でその写真見て、夜うなされたわ。

この船には、酔いどれのコックのおっさんとその助手やゆー2人のおねーちゃんが乗り込んどった。むさい男所帯に若い女がまじったらややこしなるのは火ィ見るより明らかや。すぐに女の取り合いですったもんだし始めよる。普通はもーちょいここらのエピソードを描きそーなもんやけど、この映画は先を急がなアカンから、そんな胡乱なシーンは思いっきり端折ったった。男2人と女2人に「さっさと船から下りんかい」ゆーて、とある村でほっぽり出しよる。こんな辺鄙なとこで「タクシー呼んでくれ」ゆーても、来んで。

さらに、川岸まで迫ってるジャングルの奥から不気味に轟くドラムの音の中を船がしずしずと進んで行くんやけど、このおっさん、ドラムに対抗して、オペラのレコード大音響で鳴らしよるんや。ゆーても、この前、奈良で捕まった「引っ越せおばはん」のラジカセほどの大音響でなはない。この時代の蓄音機にはアンプなんかついてないからな。ま、それでも、鳴り物入りやから野球かサッカーの応援合戦みたいな感じやった。(ちゃうかも。。。)

「うしろ見てみ」言われて振り返ったら、川面にぎょうさんのカヌーが浮かんどる。いよいよ首狩り族の襲来か思て、おっちゃんまで首すくめたら、あにはからんや姉はらまんや、なんか様子がおかしい。「よー来はったなぁ」ゆーほどでもないが、「何しに来たんじゃ」でもない。何となくクリスタルちゃぅ何となく曖昧な雰囲気や。船に乗り移った先住民は、主人公と西洋式の握手するワケやないんやけど、手ェにちょこんと触っていきよる。言葉も多少は通じるみたいで、何となく殺される心配はなさそーや。

さて、どーやって丸め込んだんか知らんが、先住民の全面的バックアップを得られることになって、(どーも、ノーギャラのボランティアみたいやった。ここで思い出したんやが、昨日TVで見てて、頭に来た事件がひとつある。なんと『募金』の詐欺や。しかも、日当貰うて街頭で募金集めして、詐欺師の片棒担ぎしとった学生がぎょうさんおったゆー話や。世も末やね。お前らには良心ゆーもんがないんか?)

閑話休題、なんと驚いたことに、2つの川が接近してるところに仕切り板みたいに立ちはだかってる山(ゆーか丘)の急な斜面を人海戦術で船引っ張り上げるゆーんや。しかも、たまげたことに、そのシーンを実写で撮影したんや。これ、ドキュメンタリー映画かいな?

◆◆ネタバレ注意◆◆ここから先は、この映画を観よ思てる人は飛ばしてちょーだい。なんとか一山越えて、もう1本の川に船が浮かんだときは、おっちゃん思わず万歳三唱してしもた。さぁ、そこから話は急展開やのうて、急流下りや。先住民のリーダー格の男が、夜陰に紛れて船の舫ロープ切ってしまいよる。船はゆっくり流れに乗って川を下り始める。しかし、みんな前夜の大盛り上がり大会の酒で、文字通り白河夜船状態やから、気ィつかん。ついに、ボンゴに瀬に差し掛かって、船はあっちこっちぶつかって沈没寸前や。

このシーンは、どーもミニチュアの船使てたんちゃうか?迫力不足は否めんな。せっかく山越えさせた船やけど、ここでバラバラになってしもたら、ラストのカンドー的なシーンの撮影ができんようになるしなぁ。ここは模型で茶ァ濁しとこかと監督が考えたとしても文句ゆー筋合いはない。そら、しゃーなかったんちゃうかと、おっちゃん、見終わってから一応納得したわ。

無事に瀬を乗り切って街に辿り着いたけど、計画としては失敗やった。しかし、このおっさん、転んでもタダでは起きん。元の持ち主に船売った金で、一世一代の大盤振る舞いしよった。あのラストは拍手喝采ゆー感じやった。◆解除◆

主人公の最大の理解者である売春宿の女主人役で、クラウディア・カルディナーレが出てた。若い頃の彼女もよかったけど、中年の彼女もエエ感じやね。この映画の頃で42〜3か。熟女フェロモンぷんぷんやけど、決して猥雑な感じはせん。それにしても、あの熱帯特有の蒸し暑さの中で、コルセットで体締めつけてたら、アセモだらけになると思うで。

主人公も白の麻っぽいスーツにネクタイ、帽子の正装や。着替え何枚も持って来てる風でもなかったから、そら、汗臭いんちゃうか。水浴びしよ思て川に飛び込んだらピラニアに大事なとこ噛みつかれるかも知れんしな。。。なんせアマゾンなんやから。そうそう、このクラウス・キンスキーゆー怪優、あのナスターシャ・キンスキーのお父ちゃんなんや。そーゆーたら、エキセントリックな光を宿す眼元なんかよー似てるわ。

ま、この映画はヨーロッパ人の南米での悪行を描いたろと思て映画撮ってたワケやないから、アマゾンの自然破壊に対する糾弾とか、先住民への搾取とかの視点はすっぽり抜けてる。ひたすら男の狂気染みた夢とロマンの映画やった。


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コメント 1

これから見るんで飛ばした。

その干し首はヒバロ(Jivarro)族の作るツァンツァ(tzantza)ですね。首を切ってすっぽり骨から皮を剥ぎ取り、秘密にされている草か草の根の知るで煮ると小さくなるんだそうで。南米に行くと例えばブラジルのサンパウロの日本人街の土産物屋なんかに、ごく雑な作りのまがいもんが売ってます。
by これから見るんで飛ばした。 (2006-03-26 00:14) 

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